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2016年9月

事例7 土地区画整理事業施行後の土地は広大地評価に該当しない?

  埼玉県N市に複数の土地を所有していた大地主の相続案件。相続開始直後に担当の税理士から土地評価業務の依頼を受けました。多くの土地が土地区画整理事業施行区域内に存する農地で、仮換地のほとんどが広大な市街地農地(生産緑地も含む)でした。

 その中の一つの畑について、広大地評価に該当するか検討しました。地積は約3000平方メートルで、三路線に面する土地です。正面路線の間口距離が約100メートルであるのに対して奥行距離は約27メートルです。広大地評価に該当するかの判定に際して、重要な要素の1つは奥行距離です。一般的に25m以下なら不可、30m以上なら可(他の条件を満たしている場合)といわれており、25m~30mは、いわばグレーゾーンで、非常に頭を悩ませます。担当の税理士には、「広大地評価に該当する可能性はありますが、公共公益的施設用地の負担が不要との理由で、広大地評価を否認される可能性もあります。しかし、広大地評価を適用するか否かで、億単位で評価額が異なるため、納税者には否認のリスクも説明した上で、広大地評価を適用した方が良いと思います。」と提案しました。

 担当税理士もかなり悩み、事前に税務署に相談に行きました。このときに税務署の担当者から税理士が受けた回答が、「土地区画整理事業施行後の土地は広大地評価には該当しない。」とのことで、それを聞いた私はビックリ。確かに、区画整理後の土地は形状がきれいで、道路も整備されていますが、従前地が広大な農地なら、仮換地も今回の事例のように一般的には広大な農地で、奥行距離が30mを超えるものはいくらでもあります。そのような土地は戸建住宅用地として分割するときは、道路の新設が必要な場合もあります。

 本件評価地については、納税者に万一の場合のリスクは充分に説明した上で、広大地評価を適用して申告しました。数年前の事例ですが、税務調査時に広大地評価を否認されることはなく、納税は無事終了しました。納税者には大変に感謝されました。

 本事例には後日談があります。本件評価地は納税者が相続税納税のために売却したのですが、購入した不動産開発事業者は本件評価地に道路を新設し建売住宅で販売しました。もし、税務署から広大地評価を否認されたら、この開発図面を示して反論する予定でいました。